植物紹介



シロイヌナズナ(担当:産業技術総合研究所)
学名:Arabidopsis thaliana
フウチョウソウ目 アブラナ科 シロイヌナズナ属
2n=10(2倍体)

2000年12月に植物としては初めて全ゲノムの解読が終了。ゲノムサイズが小さい、ライフサイクルが短い(約2ヶ月)、形質転換が容易、などの理由から、モデル植物として利用されている。遺伝子数は約26,000、そのうち約2,000遺伝子が転写因子をコードしている。



キク(担当:花き研究所)
学名:Chrysanthemum morifolium
キク目 キク科 キク属
2n=54(6倍体)
花言葉:高貴

バラ、カーネーションと並ぶ世界3大花きのひとつ。ひとつの花に見えるのは小さな花の集まりであり、内側が筒状花、外側が舌状花という、2種類の花冠を持つ。食用に改良された食用菊は山形県を中心に東北地方で栽培されている。キク科の植物は2万種以上と非常に多く存在しており、世界中どこでも見られる。


トレニア(担当:花き研究所)
学名:Torenia fournieri  和名:ツルウリクサ
ゴマノハグサ目 ゴマノハグサ科 ツルウリクサ(トレニア)属
2n=18(2倍体)
花言葉:ひらめき・温和・可憐・可憐な欲望・控えめな美点

インドシナ原産の一年草(非耐寒性)で、熱帯アジアからアフリカにかけて、約40種が知られている。花の形から別名ナツスミレ(夏菫)とも呼ばれ、最近はホームセンターなどでもよく見かけるようになった。夏の暑さに強く丈夫で、半日陰でも育てられる。多花性で夏の花壇や鉢花に適している。花色は濃青の他に淡青、桃、黄、白など。トレニアという名前は、スウェーデン東インド会社の牧師トレン(O. Toren, 1718-53)に由来すると言われている。

■メモ:トレニアの花のモデル植物としての有用性について
トレニアは、草丈を小さく育てられる(最小7 cm程度で開花)、挿し芽で簡単に維持・増殖できる、花が咲くまでの期間が短い、日長に関係なくプラントボックスのような湿度の高い栽培条件でも正常に開花する、2倍体でゲノムサイズが小さい(171 Mbp=シロイヌナズナとほぼ同等)、遺伝子組換えの手法が確立されているなど、遺伝子組換え研究の材料として都合のよい性質をいくつも備えていることから、新たな花のモデル植物として注目されている。また、花の構造が比較的シンプルであるため、色や形の変化が目で見てわかりやすい点も研究材料としての優れた特徴である。



リンドウ(担当:岩手生物工学研究センター)
学名:Gentiana scabra (ササリンドウ)、G. triflora (エゾリンドウ、エゾオヤマリンドウ)
リンドウ目 リンドウ科 リンドウ属
2n=26(2倍体)
花言葉:悲しんでいる貴方を愛する、正義、誠実

 本州・四国・九州・奄美の原野、山地に見られる山野草。園芸化も進み、夏〜秋にかけて、切り花、鉢花として栽培される。多年草。
 リンドウ属Gentianaはアフリカを除く世界中に分布し、約400種が知られ、日本には13種が自生する。G. trifloraG. scabraとの交雑は容易で、雑種による園芸品種の育成も盛んに行われている。

岩手県におけるリンドウの育成
国内では、切り花リンドウの約60%が岩手県で栽培されており、近年では海外においても利用が広がっている。日本から、ヨーロッパへの輸出も進められている。 (岩手県のページへ)

〜余談〜
リンドウの根には発ガン抑制作用があるらしい。
リンドウ属は、花冠裂片の間に副裂片があるのが大きな特徴です。
ピンクリンドウは「敬老の日」に送る。
リンドウ属の植物の中には根が漢方薬として用いられるものがある(G. lutea等)。
漢名は「竜胆」もしくは「龍胆」、竜の胆のように、根の苦みが強いことから由来。



シクラメン(担当:北興化学工業)
学名:Cyclamen persicum  和名:カガリビバナ
サクラソウ目 サクラソウ科 シクラメン属
2n=48(2倍体)

和名は「豚の饅頭」「篝火花(かがりびばな)」。冬の代表的な鉢花。品種改良により八重咲き、フリンジ咲きなどが得られている。


トルコギキョウ(担当:山形県農業総合研究センター)
学名:Eustoma grandiflorum
リンドウ目 リンドウ科 ユーストマ属
2n=72(4倍体)
花言葉:優美、希望

トルコギキョウという名前でありながら、原産地は北アメリカ、キキョウ科であるキキョウとは全く異なるリンドウ科の植物。切り花として人気があり、結婚式や卒業式などに用いられる。


アサガオ(担当:筑波大学)
学名:Ipomoea nil
ナス目 ヒルガオ科 サツマイモ属
2n=30(2倍体)

奈良時代に中国から薬草として渡来したと伝えられるが、日本の夏の風物詩として広く親しまれている。江戸時代には、八重咲きなどの花弁や葉などの形が大きく異なる「変化朝顔」が流行したが、現在でも、入谷の朝顔市をはじめ、各地で品評会や展示会が盛んに行われており、愛好家が多い。初等教育でも取り上げられ、育てて観察する植物の代表である。一方、遺伝学、分子生理学の研究材料としても使われており、花形・草形の他、多彩な花色素の合成経路、動く遺伝子(トランスポゾン)、花芽誘導などの研究が行われている。2002年には日本が世界に向けて整備する実験生物「文部科学省ナショナルバイオリソース」の一つに選定された。学名としては、長らくPharbitis(=色、多彩な花色があるから)が用いられてきたが、近年、サツマイモと同じIpomoea(=芋虫に似た、這い登る様子から)を用いることが多くなった。