花のトピックス



ABCモデル

1990年に、花器官形成の単純かつ明快な分子遺伝学的モデル、
ABCモデルがE. M. Meyerowitzのグループにより提唱された。
このモデルはシロイヌナズナの研究より考えられたが、
他の植物にもABCモデルを当てはめることができる。

図1に示すように、花器官は4つの同心円状の領域(whorl1-4)
に、それぞれがく片、花弁、雄しべ、雌しべが並んでいる。
花器官を形成するための3つのクラスの遺伝子(クラスA, B, C)が、
隣り合った2つのwhorlで発現し、その組み合わせにより
どの花器官が形成されるかが決定する。
クラスAの遺伝子のみが働くと「がく片」
クラスAとクラスBの遺伝子が働くと「花弁」
クラスBとクラスCの遺伝子が働くと「雄しべ」
クラスCの遺伝子のみが働くと「雌しべ」が形成される。

クラスBの遺伝子の機能が欠失した場合、
whorl2ではクラスA、whorl3ではクラスCの遺伝子のみしか働かないため、
それぞれがく片、雌しべが形成される(図2)。
また、クラスAとクラスCの遺伝子はお互いにその働きを抑制しており、
クラスAの遺伝子の機能が欠失するとクラスCの遺伝子が
whorl1および2の領域でも働き、結果として
雌しべ、雄しべ、雄しべ、雌しべという花ができる(図3)。
逆にクラスCが欠失するとがく片、花弁、花弁、がく片となり(図4)、
さらにwhorl4で新たな花が繰り返し形成されるため、八重咲きの花になる。


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